本研究の目的は、目標志向性、スポーツ能力に対する信念、身体的有能さの認知、統制感、運動有能感下位尺度など、能力関連要因を測定する尺度を用いて尺度間の関係を明らかにすることであった。研究の方法は、大学生(男子153名、女子168名、計321名)を対象とした質問紙調査であった。探索的因子分析及び検証的因子分析により尺度の構成概念妥当性を検討し、α係数の算出により尺度の信頼性を検討した。その後、各尺度の基本統計量を算出し、尺度間の相関係数を求め、性差も検討した。また、目標志向性及びスポーツ能力に対する信念それぞれの得点分布から、目標志向性のタイプを4群、スポーツ能力に対する信念のタイプを4群に分け、各尺度得点について1要因分散分析を行った。相関関係や1要因分散分析の結果を総合的に検討したところ、身体的有能さの認知と他者基準有能感、統制感と課題基準有能感は類似していること、統制感と増大的信念及び課題志向性は一部類似した部分があることが示唆された。