本研究では、協同学習によって進められている大学初年次教育科目において、協同学習における社会的動機 づけがどのように変化するか、また、その中で協同学習における社会的動機づけが大学適応感とどのように関 連するかについて検討を行った。大学初年次教育科目を受講する大学1年生1066名を対象に、全15回授業の 中で、初回授業(4月中旬)ならびに、第14回授業(7月中旬)において質問紙調査を行った。社会的動機づ けについては、「メンバーからの被評価動機」において有意な得点の上昇が、「他者援助動機」「他者からの知 識影響に対する動機」において有意な得点の下降が見られた。また、第14回授業における大学適応感を従属 変数、社会的動機づけの各下位尺度得点を独立変数とした重回帰分析を行った結果、対人的適応感、学業的適 応感ともに、「他者からの刺激による動機づけ」「他者からの知識影響に対する動機」が正の予測を示した一方、 「メンバーからの被嫌悪回避動機」は負の予測を示した。