症例は60歳, 男性. 2008年8月より湿性咳嗽が出現した. 10月のCTで左肺上葉に45mm大の腫瘤影と両側肺門・縦隔・噴門部・傍大動脈リンパ節の腫大を認めた. 気管支鏡検査, 上部消化管内視鏡検査により, 非小細胞肺癌, 胃癌の同時重複癌と診断した. 全身化学療法を施行したが徐々に原病は進行し, 2009年7月1日のCTでは新たに両側副腎転移巣を認めた. 2009年7月24日から腹痛, 7月28日から発熱が出現した. 7月29日のCTで右副腎転移巣の著明な増大, 内部に高濃度域を認め, 副腎出血と診断した. 悪性腫瘍の副腎転移巣から出血を来す症例は稀であり, 文献的考察を加え報告する.