筆者は,実務を通して離職者の再就職や非正規社員から正社員への転換する際に,過去の経験が転換後の職業の基礎として汎用性を持つものであると仮定した。そこで,本論文では,生涯にわたって人間の職業能力は発達していくという仮説を発達心理学での先行研究をもとに考察していった。またそれを促進させるために必要なより良質な職業能力開発の必要性について考察を進めていく。これについてK 短期大学校横浜校における物流業への就労を目的とした日本版デュアルシステム職業訓練事例をもとにその有効性を検証していった。その結果,成人してからの能力開発促進に上記職業訓練が「触媒」としての機能があることが,就職率,定着率といった指標から裏付けられた。さらに,これによって得られた就労機会を生かし長期にわたって企業等に定着をして,社会情勢,企業状勢の変化にも持ちこたえ一層能力を発達させていくための道筋をつけることも展望して論じたものである。